開業税理士が最新動向を解説|令和3年ものづくり・持続化補助金(コロナ特別枠)
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2021.01.07
補助金・助成金
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コロナ特別枠は名前を変えて令和3年募集分も継続
(1月28日追記しました)
令和3年1月26日に衆院予算委員会は、令和2年度第三次補正予算案を可決しました。今後は衆院本会議で可決後、参院での審議に入り28日にも可決される見通しです。
なお、先日、当事務所ブログでご紹介した事業再構築補助金(予算額1兆1,485憶円)と併せて、中小企業生産性革命推進事業(ものづくり・持続化・IT導入補助金)についても、緊急事態宣言による影響を受けたことを証明する事業者が申請をした場合には、審査において加点し、優先的に採択する旨、経済産業省より公表されています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/kinkyu_shien/
特別枠予算は2,300憶円!
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化するなか、2020年12月15日に令和2年度第3次補正予算案(経済産業省関係)が閣議決定されました。第3次補正予算案は合計約4.7兆円。そのうち、中小企業生産性革命推進事業(特別枠)として2,300憶円の予算が編成されています。
中小企業生産性革命推進事業とは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」といった補助金事業を含む政策の正式名称です。
昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた中小企業者等を支援するため、これらの補助金に対して「コロナ特別枠」として補助金・補助率の上限が引き上げられました(補正予算額1,700憶円)が、これらの特別枠は昨年12月の募集分をもって終了しています。
しかしながら、いまだ収束が見えない新型コロナウイルス感染症流行の継続を受け、ウィズコロナ・ポストコロナの状況に対応するビジネスモデルへの転換に取り組む中小企業者等を支援する目的として、昨年のコロナ特別枠を「低感染リスク型ビジネス枠」へ改編することとされました。
令和3年分の事業予算は合計3,500憶円
中小企業生産性革命推進事業は、既に令和元年度補正予算において、3年間(2020~2023年)で3,600憶円の予算が組まれています。
それに加え、昨年はコロナ特別枠として1,700憶円が、今年は新特別枠として2,300憶円の補正予算が追加されました。単純に3年間で3,600憶円と考えると、単年で1,200憶円+追加予算2,300憶円で、今年の事業全体の予算額は3,500憶円規模となります。
これに先日お知らせした中小企業等事業再構築推進事業(事業再構築補助金)の予算を合わせると1兆5,000憶円もの予算規模となり、従来年度のおよそ10倍の規模となります。中小企業等にとって、今年は設備投資等の資金調達手法として、これらの補助金活用の検討は避けて通れないものとなるでしょう。
新特別枠の「低感染リスク型ビジネス枠」とは?
現行の「ものづくり補助金」「小規模事業者等持続化補助金」「IT導入補助金」に、ポストコロナに向けたビジネスモデルへの転換に向けた中⼩企業等の取組⽀援を目的として、あらたに「低感染リスク型ビジネス枠」が創設されます。それぞれの補助金について、「低感染リスク型ビジネス枠」の概要は、以下の通りです。
ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進事業(ものづくり補助⾦)
【補助額︓100万〜1,000万円、補助率︓2/3】
対⼈接触機会の減少に資する、製品開発、サービス開発、⽣産プロセスの改善に必要な設備投資、
システム構築等を⽀援
2020年1月6日に独立行政法人中小企業基盤整備機構ホームページにて、「低感染リスク型ビジネス枠」予告版資料が公表
(https://seisansei.smrj.go.jp/pdf/news_210106.pdf)
低感染リスク型ビジネス枠のメリット
(1)補助率が2/3
(2) 広告宣伝・販売促進費を補助対象に
低感染リスク型ビジネス枠の申請要件
新型コロナウイルスの感染拡大及びポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に
向けた投資をすること
・物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
(例)AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御等の機能を有する製品開発
(部品開発を含む)、オンラインビジネスへの転換等
・物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供
方法の改善
(例)ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを
提供するオペレーションセンターの構築等
・ポストコロナに対応するビジネスモデルの抜本的な転換に係る設備・システム投資
※キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデル転換に
対して大きな寄与が見込まれない機器購入は、補助対象外
⼩規模事業者持続的発展⽀援事業(持続化補助⾦)
【補助上限︓100万円、補助率︓3/4】
⼩規模事業者等が経営計画を作成して取り組む、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、⽣産プロセスの導⼊等の取組を⽀援し、その取組に資する感染防⽌対策への投資についても、⼀部⽀援 (補助対象経費のうち1/4を上限として感染防⽌対策を⽀援)
サービス等⽣産性向上IT導⼊⽀援事業(IT導⼊補助⾦)
【補助額︓30万〜450万円(テレワーク対応類型は上限150万円)、補助率︓2/3】
・複数の業務⼯程を広範囲に⾮対⾯化する業務形態の転換が可能なITツールの導⼊を⽀援
・テレワーク対応類型を設け、テレワーク⽤のクラウド対応したITツールを導⼊する取組を⽀援
【各補助金の補助上限と補助率】
補助上限・補助率 | 通常枠 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
ものづくり補助⾦ (設備導⼊、システム構築) |
1,000万円・1/2(⼩規模 2/3) | 1,000万円・2/3 |
持続化補助金 (販路開拓等) |
50万円・2/3 | 100万円(※)・3/4 ※感染防止対策費も一部支援 |
IT導⼊補助⾦ (IT導⼊) |
450万円・1/2 | 450万円(※)・2/3 ※テレワーク対応類型は150万円 |
新設される特別枠への申請準備はお早めに
新設される「低感染リスク型ビジネス枠」の募集時期について、公募開始は令和2年度第3次補正予算の成立後となるため、例年の予算成立スケジュールによれば、令和3年3月頃に開始されるものと思われます。
現在公募されている「ものづくり補助金(5次締切分:令和3年2月19日期限)」「小規模事業者持続化補助金(第4回受付分:令和3年2月2月5日期限)」には、特別枠がなく通常枠での募集となっていますので、申請対象となる設備投資等が急務でない場合は、特別枠では補助率が1/2から2/3になるメリットを享受できる可能性がありますので、新たな特別枠でのチャレンジを検討すべきでしょう。
また、「ものづくり補助金」は、特別枠での不採択案件は、他の通常枠の案件と合わせて審査されることとなりますが、加点措置によって優先採択されることから、結果として、通常枠で申請するよりも特別枠で申請した方が採択されやすくなります(「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」については、通常枠と特別枠では補助対象や申請要件が異なるため、通常枠と特別枠が別個に審査されることから、特別枠が一般枠よりも採択されやすいとはいえず、採択の優劣は、それぞれの申請状況等により異なります)。
なお、予算編成は年間での通算額となりますが、早期解消の傾向が強いことから、例年ですと、早い締切分の方が採択率が高くなる傾向があります。令和3年中に設備投資を検討されている中小企業においては、早期に申請できるよう予め準備を整えておきましょう。
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